はじめに
「働きかたDIY」の tochu_diy です。
私は、派遣→正社員→(退職代行を使って退職)→また派遣、という順番で働いてきました。つまり、派遣から正社員になる決断と、正社員から派遣に戻る決断、その両方を実際にしています。
この記事では、両方向を経験したからこそ見えてきた「派遣か正社員か」の判断軸を書いていきます。先に結論を言うと、「派遣か正社員か」は、実は特別な二択ではないと思っています。優先順位を出して、トータルで考える。それだけです。 正社員だったときの転職も、結局は同じように優先順位を出してトータルで考えてきました。派遣か正社員かも、それと変わりません。

派遣から正社員へ切り替えた理由
もともと、私は正社員として働きたいと思っていました。ただ、いきなり希望の職種で正社員として働くのは難しいと考え、まずは派遣で経験を積んでから正社員を目指そう、という計画を立てていました。
何社かめの派遣先で1年ほど働いたタイミングで、派遣先から正社員にならないかと声をかけてもらいました。「渡りに船」という感覚でした。もともとの計画通りの流れだったので、正社員への入り方としてはとてもスムーズだったと思います。
決めた瞬間の気持ちは、迷いというより、単純に嬉しかったのを覚えています。「派遣から正社員になることって、本当にあるんだ」という感じでした。派遣から正社員登用を前提にした「紹介予定派遣」という制度もあるのですが、私の場合はそちらではなく、通常の派遣からの登用だったので、なおさらラッキーだと感じました。
正社員になって分かったこと
良かったことはたくさんあります。
- 初めてのボーナス。素直に嬉しかった

- 有料のセミナーに参加させてもらえた
- 出張に行けるようになった
- 持株制度など、会社の制度を使えるようになった
- 責任は上がったが、それほど負担には感じなかった
戸惑ったのは、派遣時代にはなかった「目標設定」です。派遣時代はボーナスがないぶん、期ごとに目標を立てて達成度を数値化する、というような仕組み自体がありませんでした。派遣会社との面談で派遣先からのフィードバックをもらうことはあっても、細かい評価制度ではなかったんです。正社員になってからは、会社や上長によっては目標設定から数値化までかなりしっかり組み立てられていて、正直かなり驚きました。
(ちなみに、今就業している派遣会社では年に1回、派遣先からのフィードバックをもらう制度があります。最初の派遣時代にはそれがなかった気がするので、派遣会社によっても評価の仕組みは結構違うんだな、というのも後になって気づいたことです。これは後半でもう少し掘り下げます。)
一方で、正社員ならではのリスクも実感しました。派遣ほどすぐに職場を変えられないということです。転職活動には「一か八か」な側面があって、面接でどんなに良さそうに見えても、入ってみたら合わなかった、ということが実際にありました。
- 初めての正社員転職では、思ったより業務内容が少なかったり、人間関係が複雑だったりして戸惑いました。これは面接だけでは分からないことでした
- 直近の転職では、最初は良かったのですが、実はパワハラのある職場でした
派遣にも同じリスクはありますが、派遣は「合わなければ去りやすい」のに対して、正社員はそれが難しい。ここは大きな違いだと感じています。
派遣ならではのデメリットもある
もちろん、派遣にもデメリットはあります。
- 派遣先によっては、契約更新の確認がとても早いことがある。有期契約を自分でコントロールできるのが派遣の利点のはずなのに、最大5〜6ヶ月先までの契約に、実質的に拘束されてしまうようなケースもあった。長期で働きたい人にはいいが、2〜3ヶ月単位でこまめに更新したい人には不都合に感じるかもしれない
- 派遣先の事情で、こちらに非がなくても契約が終了することはあり得る(予算の都合、正社員を雇うことになった、など)
- 年収を上げようと思ったら、一般的には正社員の方が有利。実際、直近の正社員時代の年収と比べると、今の派遣の収入は7割程度(3割減)。ただしフレックス・リモート・残業なしという条件を総合的に考えると、そこまで「減っている」という気持ちにはなっていない
もう一つ、正直に言うと、私自身これまであまり検討してこなかった選択肢があります。「無期雇用派遣」です。一般的な派遣(有期雇用派遣)は同じ職場で働ける期間に上限(原則3年)がありますが、無期雇用派遣は派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結ぶ働き方で、この期間制限の対象外になります(2026年7月時点。詳しくは各派遣会社の公式サイトでご確認ください)。長く同じ職場で働きたい人には向いている制度で、私も今後は選択肢として考えておいた方がいいかもしれない、と思っています。
もう一度、派遣に戻った理由
退職代行を使って退職したあと、私はもう一度正社員を目指すこともできたはずです。それでも派遣を選んだのには理由があります。
退職代行を使ってから1年くらい期間が空いていて、いきなり正社員としてバリバリ働くマインドにはなれませんでした。失業給付の期間も終わり、働く必要は出てきていたので、これまでのスキルを活かせる派遣で働きながら、機会を見て正社員への転職をすればいい、と考えたんです。
そして今、実際に派遣として働いてみて思うのは、派遣のままでも、同じような業務を良い就業環境でできているということです。
派遣と正社員、実質的な違いは何か
ここが、この記事で一番伝えたいことです。
派遣として働いていても、今の派遣先では十分にやりがいのある業務ができていますし、環境も悪くありません。正社員時代との違いを挙げようと思えば、ボーナスの有無、目標設定と評価の仕組み、持株制度のような社内制度——たしかにこういった「制度」の差はあります。しかもその「制度」は、派遣会社によっても違います。前述の通り、今の派遣会社では派遣先からの年1回のフィードバックがありますが、最初の派遣時代にはそれがありませんでした。
ただ、こうして並べてみて思うのは、「派遣か正社員か」自体が、特別な二択ではないということです。年収は一般的に正社員の方が有利、フレックスやリモートは派遣先による、目標設定の厳しさも会社次第——結局、それぞれの条件を並べて、今の自分にとって何が優先か決めて、トータルで判断する、というだけのことなんです。
これは、私が正社員として3回転職してきたときの決め方と、まったく同じです。給与、社風、業務内容、通勤時間……いろんな条件を並べて、優先順位をつけて選んできました。「派遣か正社員か」も、その並べる条件のリストに「雇用形態」という項目が一つ増えるだけ、というのが今の実感です。
今、派遣3年目にいて思うこと
今の派遣先には、入って6ヶ月くらいしてから転職活動を始めています。私は常に、短いスパンで転職活動をするようにしています。転職は「縁」だと思っているので、いつでも感度は高くしておきたいんです。安定した派遣という土台がありながら転職活動できるのは、精神衛生上とても好ましいと感じています。
今の会社に2年以上いて、いろいろなことを学べました。それもあって、また新しい職場、新しい環境で働いてみたいという気持ちが今はあります。もともと好奇心旺盛なタイプなので、いろんな場所で働いてみたい、という思いが強いのかもしれません。
どっちを選ぶか、判断基準
最後に、私なりの判断基準をまとめます。
まず、必要な月収を算定してみてください。それが派遣でも稼げるなら、無理に正社員にこだわる必要はありません。そのうえで、
- 時間を大事にしたいか、業務にどんどん取り組んでスキルアップしていきたいかで考えるのがおすすめです
- プロジェクトを主導したい、マネジメントで昇進していきたい——そんな志向があるなら、正社員向きです
- 副業やプライベートを優先したいなら、派遣向きです。長期で残業のない案件を選ぶ、短期集中で働いて一定期間ごとに離職して自由な時間を作る、週4勤務で残りを副業に充てる——探せば、働き方はいろいろとカスタマイズできます

まとめ
派遣も正社員も、どちらも経験してきた今、思うのは「どちらが正解」ということはない、ということです。その時々で何を優先したいかを決めて、それに合った働き方を選べばいい。 それだけだと思っています。
派遣会社ごとの比較は、こちらの記事で詳しく書いています。よければあわせて読んでみてください。
この記事が、派遣と正社員のあいだで迷っている誰かの、判断材料の一つになれば嬉しいです🌱

